映画「凶悪」元ネタである【上申書殺人事件】について。

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上申書殺人事件を告発した「後藤良次」死刑囚は2000年7月30日に起こった宇都宮監禁事件の犯人として逮捕・起訴され収監されていました。2003年2月4日の第一審・2004年7月6日の第二審共に死刑判決が下り、最高裁の上告棄却により刑が確定したタイミングで新たな事件と共犯の存在を告発しています。

 

2007年9月28日宇都宮監禁殺人事件の犯人として収監され上告棄却が決定した後藤良次死刑囚が茨城県警に対し上申書を提出しました。その上申書の中で茨城県内で起こった殺人事件2件・死体遺棄事件1件に自分が関与したことを明らかにしています。 後藤良次死刑囚から上申書を受け取った茨城県警は事実確認のために捜査を開始します。 提出された上申書において後藤良次死刑囚は自分以外に事件に関与した人物を告発していました。

 

「先生」こと三上静男が3つの事件の首謀者として告発される。

後藤良次死刑囚が上申書で明らかにしたのは「石岡焼却事件」「北茨城市生き埋め事件」「日立市ウォッカ事件」の3つです。後藤良次死刑囚は上申書の中で自分は実行犯であり主犯は別にいると告発しています。 そして主犯として告発されたのが後藤良次死刑囚が「先生」と呼び慕っていた三上静雄容疑者でした。 告発を決意したきっかけは三上静雄容疑者が後藤良次死刑囚に約束していた報酬を支払わなかったことだとされています。

 

上申書で後藤良次死刑囚は自身の舎弟や三上静雄容疑者以外の関係者を共犯者として告発しています。 共犯者として告発されたのは三上静雄容疑者との関りが深い会社経営者と日立市ウォッカ事件の被害者家族でした。 3件のうち唯一立件された日立市ウォッカ事件の被害者家族は後に逮捕されることになります。

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後藤良次死刑囚の生い立ち

後藤良次死刑囚は少年時代から何度も警察に逮捕されていました。14歳で窃盗・暴力行為で初めて初等少年院に入ったのを皮切りに、17歳で中等少年院・19歳で特別少年院に収監されています。 16歳で稲川会系幹部と知り合い暴力団員となります。その後も窃盗・器物損壊・住居侵入・恐喝・銃刀法違反など様々な罪で何度も刑務所に収監されています。 35歳で一度は自分の組を構えたものの再び刑務所に入り、仮出所後の再興もうまくいきませんでした。40歳の時に堅気になる目的で三上静雄容疑者を紹介してもらったことが上申書殺人事件につながっていきます。
 

「先生」三上静男

後藤良次死刑囚の告発によって「先生」と呼ばれる三上静雄容疑者は日立市ウォッカ事件の犯人として逮捕されました。起訴後も三上静雄被告は一貫して容疑を否認していましたが、共犯だった被害者家族が容疑を認め裁判は進行していきました。

 

【上申書に書かれていた3つの事件】

石岡市焼却事件

1999年11月中旬に三上静雄受刑者が絞殺した男性の遺体を後藤良次死刑囚が手伝って焼却炉で焼いた死体遺棄事件です。 絞殺されたのは60代の男性で、三上静雄受刑者との間に金銭トラブルがあったとされています。後藤良次死刑囚は三上静雄受刑者の指示で茨城県石岡市内にある会社まで遺体を運び、敷地内にあった焼却炉に遺体を入れて廃材と一緒に燃やしました。 しかし被害者男性のフルネームが不明で、遺体も残っていなかったことから身元確認ができず立件できませんでした。

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北茨城市生き埋め事件

上申書殺人事件の2つめは北茨城市生き埋め事件です。1999年11月下旬に三上静雄受刑者の指示のもと、後藤良次死刑囚とその仲間が当時70代の埼玉県在住の資産家男性を水戸市内で拉致し生き埋めにした事件です。 後藤良次死刑囚は上申書の中で北茨城市にあった三上静雄受刑者が所有する土地まで運び、穴を掘って生き埋めにしたと記載しています。そして被害者男性が所有していた土地は一度三上静雄受刑者名義になったうえで売却されていました。 土地の登記については裏付けがとれましたが、犯行現場から遺体が見つからなかったことで立件は見送られています。三上静雄受刑者が証拠隠滅のために遺体を別な場所に移したという説もあるようです。

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日立市ウォッカ事件

上申書殺人事件の3つめが日立市ウォッカ事件です。三上静雄受刑者が2000年7月中旬より茨城県阿見町在住のカーテン店経営者を軟禁し、肝硬変と糖尿病の持病を持っていたことを知りながら大量の酒を与えて殺害したというものです。 軟禁は1ヶ月以上に及び、同年8月中旬にはアルコール度の高いウォッカを飲ませ続け病死に見せかけて殺害します。その遺体を山中の林道に運び、事故に見せかけていました。 この事故により被害者遺族が多額の保険金を手にしていたことから、茨城県警の捜査が本格化します。3つの事件の中で唯一刑事事件化されました。

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刑事裁判の判決

日立市ウォッカ事件に関する刑事裁判では被害者男性の妻と長女夫婦に対して懲役13~15年の判決が下っています。保険金詐取事件でも有罪判決を受けました。 3名は一度は控訴したものの取り下げ、早々に刑が確定しています。 一方三上静雄受刑者は容疑を否認し続けたものの無期懲役となり、告発者である後藤良次死刑囚には懲役20年が言い渡されています。

 

上申書殺人事件のその後

上申書殺人事件の1つである日立市ウォッカ事件が刑事事件化したことで、被害者男性の殺害に妻や長女夫婦が関与していたことが明らかとなります。被害者男性が経営していたカーテン店は6,000万円の負債を抱えており、家族は連日取り立てに来る債務者への対応に手を焼いていました。 そのため被害者男性の長女の夫が知り合いの工務店経営者に相談し、三上静雄受刑者を紹介してもらって殺害を依頼しました。 被害者遺族と三上静雄受刑者の間を取り持ったとされる工務店経営者は2006年12月31日に交通事故で亡くなっています。

 

【後藤良次死刑囚の現在】

茨城県警の捜査により上申書殺人事件の一つである日立市ウォッカ事件が立件され、後藤良次死刑囚は再び裁判を受けることになりました。そして、懲役20年という判決が下されます。 日立市ウォッカ事件の裁判中は後藤良次死刑囚の刑の執行は停止されます。そのため後藤良次死刑囚は自身の刑執行を回避するために上申書を提出したと考えている人もいるようです。 今も尚、後藤良次死刑囚の刑は執行されておらず現在も収監中です。

 

【三上静男の現在】

三上静雄受刑者は最高裁無期懲役が確定するまで一貫して容疑を否認し続けていました。裁判を傍聴したマスコミや医学関係者の中には三上静雄受刑者をサイコパスではないかという人もいるようです。 しかし日立市ウォッカ事件では共犯者が三上静雄受刑者の関与を認め、早々に刑に服しています。 三上静雄受刑者は現在山形刑務所に収監されているといわれています。そこで無期懲役の受刑者として服役していると思われます。

 

映画「凶悪−ある死刑囚の告白−」は2013年に白石和彌監督によって映画化されました。「凶悪」という映画の中では三上静雄受刑者をリリーフランキーさん・後藤良次死刑囚をピエール瀧さん・宮本太一氏を山田孝之さんが演じています。 「凶悪」では原作と設定を変えているところもありますが、上申書殺人事件で告発された3つの事件が再現されています。

 

 

 

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